スマホ用絵本「村の少数派」」:民主主義の絵本集

村の少数派

東郷　潤

あるところに、なんでも民主的に多数決で決定する村がありました。 村民の数は全部で５０人です。

ある日、村人たちの一部が、野球をして遊んでいました。野球好きの村人の数は１０人です。

あれ？　ガラスが割れちゃいましたね。

村民集会が開かれました。そこで、ガラスを割られた家の人が提案しました。

野球好きの１０人は、真っ青になりました。彼らはもちろん反対しました。

〔注〕 この絵本で野球の是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

４０対１０で野球は禁止となりました。

１０人の村人が不満そうです。野球を禁止にされた人たちです。

さて村には、飲むと気持ちよくなる飲み物があります。　村人の２０人が大好きでした。

ある日、その飲み物を飲んだ一人があばれました。

村民集会が開かれました。そこで、一人が提案しました。

その飲み物が好きな人たちは、真っ青になりました。彼らはもちろん反対しました。

〔注〕 この絵本で、飲酒もしくは禁酒の是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

３０対２０で、この飲み物は禁止となりました。

一部の村人が不満そうです。それは野球と飲み物を禁止された人たちです。

さて村には、耳が長い動物を好んで食べる人たちが１０人いました。

「可愛い動物を食べるなんてひどい！」そう思った別の村人が、村民集会でその動物を食べることを禁止にしようと提案しました。１０人はもちろん反対です。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

４０対１０で、その動物を食べることは禁止となりました。

〔注〕 この絵本で、異なる食文化や菜食主義や肉食の是非を主張するものではありません。

多くの村人は不満そうです。それは、野球と飲み物と食の一部を禁止された人たちです。

さて村で、新しく発電所と飛行場施設をつくることになりました。
でも問題がありました。誰も自分の家の近くには、施設を置きたくなかったのです。

〔注〕 この絵本で、発電所（原子力発電所も）や飛行場（軍事基地も）の是非を主張するものではありません。

そこで、どの場所に建てるか民主的に多数決で決めることとなりました。

多数決の結果、それぞれ7人と８人の村人しか住んでいない地域に建設することになりました。

〔注〕 この絵本で、発電所（原子力発電所も）や飛行場（軍事基地も）の是非を主張するものではありません。

ほとんどの村人が不満そうです。 それは、野球と飲み物と食の一部を禁止され、家の近くに発電所か飛行場を作られた人たちです。

さて村には、同性が好きだという人が５人いました。

「同性が好きだなんて、不道徳だ」そう思った別の村人が、村民集会で、同性愛の禁止を提案しました。 ５人はもちろん反対です。

〔注〕 この絵本で、同性愛の是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

４５対５で、同性愛は禁止となりました。

村人は全員、不満そうです。それは、野球と飲み物と食の一部を禁止され、家の近くに発電所か飛行場を作られ、同性愛を禁止された人たちです。

さて村には、子供のＨな写真や絵が好きな人が５人いました。

「子供のＨな写真や絵を好きだなんて、不道徳だよ」そう思った別の村人が、村民集会で、子供のＨな写真や絵の禁止を提案しました。 ５人はもちろん反対です。

〔注〕 この絵本で、児童ポルノの是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

４５対５で、子供のＨな写真や絵は禁止されました。

村人は全員、不満そうです。 それは、野球と飲み物と食の一部を禁止され、家の近くに発電所か飛行場を作られ、同性愛と子供のＨな写真を禁止された人たちです。

さて村には、火をつけて煙を吸うと気持ちがよくなる草があります。１０人の村人が大好きでした。

「あれは、体に悪いに決まっているから、禁止しよう」そう思った別の村人が、村民集会で、草の禁止を提案しました。 「ええ？　この草はタバコよりも害はないよ。ガンにだって効くんだから」 １０人はもちろん反対です。

〔注〕 この絵本で、ソフトドラッグ（マリファナ／大麻など）の是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

４０対１０で、草は禁止されました。

村人は全員、不満そうです。 それは、野球と飲み物と食の一部を禁止され、家の近くに発電所か飛行場を作られ、同性愛と子供のＨな写真と草を禁止された人たちです。

さて、村には村の神様へ礼拝をしない人が２０人いました。

「神様へ礼拝するのは正しいこと」そう思った別の村人が、村民集会で、礼拝を義務とすることを提案しました。 ２０人はもちろん反対です。

〔注〕 この絵本で、信仰の自由（あるいは信仰の強制）の是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

３０対２０で礼拝することが義務になりました。

村人は全員、不満そうです。 それは、野球と飲み物と食の一部を禁止され、家の近くに発電所か飛行場を作られ、同性愛と子供のＨな写真と草を禁止され、礼拝を義務付けられた人たちです。

さて村には、売春でお金をもらっている人たちが５人いました。

「売春は悪」そう思った別の村人が、村民集会で、売春禁止を提案しました。 ５人はもちろん反対です。

〔注〕 この絵本で、売春の是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

４５対５で売春が禁止となりました。

村人は全員、不満そうです。 それは、野球と飲み物と食の一部を禁止され、家の近くに発電所か飛行場を作られ、同性愛と子供のＨな写真と草を禁止され、礼拝を義務付けら、売春を禁止された人たちです。

さて村にはギャンブル好きな人が１５人いました。

「ギャンブルなんて良くないよ」そう思った別の村人が、村民集会で、ギャンブル禁止を提案しました。 １５人はもちろん反対です。

〔注〕 この絵本で、ギャンブルの是非を主張するものではありません。

そこで、民主的に多数決で決めることとなりました。

３５対１５でギャンブルが禁止となりました。

こうして多数決で規制が増え続けました。そして、そのたびに村人たちの顔は暗く険しくなっていきました。

あとがき　絵本「村の少数派」
もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、他の方にも読ませてあげていただければと思います。 　本絵本は、自由にコピーして下さって結構です（商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます）。 　また下記ＷＥＢからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org
©Jun Togo 2011

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