悪い善い人-2 |
東郷 潤 |
〔ふりがな〕 わるい よい ひと -2 とうごう じゅん |
P.1
あるところに刺青をした刺青太郎さんと、刺青太郎さんがどんな人かと考えている悪戸ミル吉さんと善戸ミル彦さんがいます。 |
〔ふりがな〕 あるところに いれずみをしたいれずみたろうさんと、 いれずみたろうさんが どんなひとかと かんがえている あくとみるきちさん と ぜんとみるひこさんがいます。 |
P.2
さて、悪戸ミル吉さんは、刺青太郎さんを犯罪者、もしくはそれに近い悪人だろうと思いました。 刺青をしていたからでしょうか。また、善戸ミル彦さんは刺青太郎さんを愛に溢れた善人に違いない、と思いました。 笑顔が爽やかだったからかもしれません。 |
〔筆者注〕 笑顔もしくは刺青の有無と、犯罪者かどうか、善人か悪人かについて、一切の主張をするものではありません。 |
〔ふりがな〕 さて、あくとみるきちさんは、いれずみたろうさんをはんざいしゃ、もしくはそれにちかいあくにんだろうとおもいました。いれずみをしていたからでしょうか。 また、ぜんとみるひこさんはいれずみたろうさんをあいにあふれたぜんにんにちがいない、とおもいました。 えがおがさわやかだったからかもしれません。 |
P.3
善戸ミル彦さんは刺青太郎さんをとても善い人だと思ったので、その認識に基づいて刺青太郎さんを扱います。 例えば、善戸ミル彦さんが就職の面接官なら・・・ |
善い人を積極的に雇おうとするのは、当たり前のことです。 |
〔ふりがな〕 ぜんとみるひこさんはいれずみたろうさんをとてもよいひとだとおもったので、そのにんしきにもとづいていれずみたろうさんをあつかいます。 たとえば、ぜんとみるひこさんがしゅうしょくのめんせつかんなら・・・ あなたのかいしゃにぜひ しゅうしょくさせてください だいかんげいです よいひとを せっきょくてきにやとおうとするのは、あたりまえのことです。 |
P.4
もし、善戸ミル彦さんの娘さんが刺青太郎さんと付き合ったら・・・? |
愛する娘を、善い人と結婚させたいのは当たり前のことです。 |
〔ふりがな〕 もし、ぜんとみるひこさんのむすめさんがいれずみたろうさんとつきあったら・・・? おじょうさんとけっこんさせてください よろこんで! あいするむすめを、よいひととけっこんさせたいのはあたりまえのことです。 |
P.5
もし、近くで強盗事件が起きたら…? |
犯罪が起きたとき、善い人を疑わないのは、当たり前のことです。 |
〔ふりがな〕 もし、ちかくでごうとうじけんがおきたら・・・? だれかあやしいひとはいませんでしたか? さあ? はんざいがおきたとき、よいひとをうたがわないのは、あたりまえのことです。 |
P.6
ではここでちょっと悪戸ミル吉さんの視点を想像してみて下さい。善戸ミル彦さんの刺青太郎さんへの接し方は、悪戸ミル吉さんには、どう見えるでしょう? 悪戸ミル吉さんは刺青太郎さんを善人ではなく、悪人だと思っていたことを思い出してください。 |
〔ふりがな〕 ではここでちょっと あくとみるきちさんの してんを そうぞうしてみてください。ぜんとみるひこさんの いれずみたろうさんへのせっしかたは、あくとみるきちさんには、どうみえるでしょう? あくとみるきちさんは いれずみたろうさんを ぜんにんではなく、あくにんだと おもっていたことをおもいだしてください。 |
P.7
悪戸ミル吉さんが、こう認識する可能性はないでしょうか? 「善戸ミル彦さんは、モラルを捨てた悪人の仲間だ」と・・・ |
〔ふりがな〕 あくとみるきちさんが、こうにんしきするかのうせいはないでしょうか? 「ぜんとみるひこさんは、もらるをすてたあくにんのなかまだ」と・・・ あくにんのみかたをするとは、おまえはなんてわるいやつだ! |
P.8
あとがき |
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©Jun Togo 2013 |
P.9
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