素直になれない |
東郷 潤 |
〔ふりがな〕 すなおになれない とうごう じゅん |
P.1
あるところに、悪戸ミル吉さんと善戸ミル彦さん、それから刺青をした刺青太郎さんがいます。 悪戸ミル吉さんは刺青太郎さんを悪人だと思っています。善戸ミル彦さんは刺青太郎さんを善人だと思っています。 |
〔注〕
●刺青の有無と善悪の関係について、一切の主張をするものではありません。 ●状況設定は、絵本「悪い良い人-1」と同じです。 |
〔ふりがな〕 あるところに、あくとみるきちさんと ぜんとみるひこさん、それから いれずみをした いれずみたろうさんがいます。 あくとみるきちさんは いれずみたろうさんを あくにんだと おもっています。ぜんとみるひこさんは いれずみたろうさんを ぜんにんだと おもっています。 |
P.2
悪戸ミル吉さんは、刺青太郎さんを悪人だと思っているので、悪人として扱います。 |
〔注〕
状況設定は、絵本「悪い良い人-1」と同じです。 本シーンの状況がご不明な場合は、先に絵本「悪い良い人-1」をご覧になってください。 |
〔ふりがな〕 あくとみるきちさんは、いれずみたろうさんを あくにんだと おもっているので、あくにんとして あつかいます。 |
P.3
一方で善戸ミル彦さんは、刺青太郎さんを善人だと信じているので、「悪戸ミル吉さんが刺青太郎さんを差別している」と思いました。 |
〔ふりがな〕 いっぽうで ぜんとみるひこさんは、いれずみたろうさんを ぜんにんだと しんじているので、「あくとみるきちさんが いれずみたろうさんを さべつしている」とおもいました。 |
P.3-2
むろん善戸ミル彦さんは、悪戸ミル吉さんの差別をやめさせたいと思いました。 |
さあ、善戸ミル彦さんは、どうするでしょう? そして悪戸ミル吉さんは、どう反応するでしょう? ここで二つのケースをご紹介します。差別の解消と固定化の分かれ道です。 |
〔ふりがな〕 むろん ぜんとみるひこさんは、あくとみるきちさんの さべつを やめさせたいと おもいました。 ひどいさべつだ! なんとかしないと さあ、ぜんとみるひこさんは、どうするでしょう? そしてあくとみるきちさんは、どう はんのうするでしょう? ここで ふたつのけーすを ごしょうかいします。さべつのかいしょうと こていかの わかれみちです。 |
P.4
善戸ミル彦さんは悪戸ミル吉さんに、こんな情報を提供しました。悪戸さんが刺青さんを誤解していると思ったからです。 |
〔ふりがな〕 1)さべつは にんしきの ちがいに よるもの ぜんとみるひこさん はあくとみるきちさんに、こんなじょうほうを ていきょうしました。あくとさんが いれずみさんを ごかいしていると おもったからです。 この しんぶんみた? いれずみたろうさんが じんめいきゅうじょを したって。すごいね。 え? そうなんだ。 かれは みかけによらず、りっぱな ひとなんだね。 |
P.5
刺青太郎さんへの認識を修正した悪戸さんは、むろん、それからは刺青太郎さんを、立派な人として扱うようになりました。 立派な人を立派な人として扱うのは、当たり前のことにすぎません。 |
では次は、善悪の錯覚が絡んだケースです。 |
〔関連絵本〕
対象物を認識した通りに扱うというテーマについては、 絵本「テニスと鉛筆」をご参照ください。 |
〔ふりがな〕 いれずみたろうさんへの にんしきを しゅうせいした あくとさんは、むろん、それからは いれずみたろうさんを、りっぱなひととして あつかうようになりました。 りっぱなひとを りっぱなひととして あつかうのは、あたりまえのことに すぎません。 ではつぎは、ぜんあくのさっかくが からんだ けーすです。 |
P.6
差別は悪です。差別を許してはいけません。善戸ミル彦さんは悪戸ミル吉さんに強く意見しました。 |
〔関連絵本〕
本シーンは、絵本「差別は悪!?」にも登場します。 |
〔ふりがな〕 2)さべつはあくだ/さべつするひとは あくにんだ さべつは あくです。さべつをゆるしては いけません。ぜんとみるひこさんは あくとみるきちさんに つよくいけんしました。 ひとをさべつするのは、わるいことだとおもう! そうだね、ぼくも そうおもうよ |
P.7
〔ふりがな〕 そうじゃない、あなたの いれずみたろうさんへの たいどのことを いってるんだ! このしんぶんきじを みなさい。 いれずみさんは、じんめいきゅうじょで ひょうしょうされたことが あるんですよ! な、なんだって? いれずみたろうが じんめいきゅうじょだって!? |
P.8
もし刺青さんが悪人ではなく善人だとすると、悪戸さんは差別したことになります。 そして差別は悪人がすることです。 ・・・つまり、こういうことです。 |
〔ふりがな〕 もしいれずみさんがあくにんではなくぜんにんだとすると、あくとさんはさべつしたことになります。 そしてさべつはあくにんがすることです。 ・・・つまり、こういうことです。 |
P.9
〔ふりがな〕 な、なんだと! おれがわるいって いうのか!? びりびり こんなしんぶん、 うそにきまってる! |
P.10
あとがき |
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もしあなたがこの絵本に共感されたら、他の方にもご紹介いただきたくお願い致します。
本絵本は、自由にコピーして下さって結構です(商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます)。 また下記WEBからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org |
©Jun Togo 2013 |
P.11
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