嵐 と 湖 |
東郷 潤 |
〔ふりがな〕 あらしとみずうみ とうごう じゅん |
P.1
遠い宇宙のある星に、大きな湖と小さな村がありました。 |
〔ふりがな〕 とおいうちゅうの あるほしに、おおきな みずうみと ちいさなむらがありました。 |
P.2
湖は村人たちの生活を支えています。湖なしで生きていくことは出来ません。 |
〔ふりがな〕 みずうみは むらびとたちのせいかつを ささえています。みずうみなしで いきていくことはできません。 |
P.3
ところが最近、湖の水が時々毒になるのです。 |
湖の毒で、子どもやお年寄りがもう何人も死んでしまいました。 |
〔ふりがな〕 ところがさいきん、みずうみのみずが ときどきどくになるのです。 みずうみのどくで、こどもやおとしよりが もうなんにんも しんでしまいました。 |
P.4
湖には何が有るのでしょう? |
もぐって毒の原因を探す人もいます。 |
〔ふりがな〕 みずうみには なにがあるのでしょう? もぐって どくのげんいんを さがすひともいます。 |
P.5
でも、水はにごっているし、冷たいし、湖は広いし、何も見つけることは出来ません。かといって湖を離れて生きていくことも出来ません。 |
〔ふりがな〕 でも、みずは にごっているし、つめたいし、みずうみはひろいし、なにもみつけることはできません。かといってみずうみを はなれていきていくことも できません。 どくのげんいんは わからないし、みずうみと はなれては いきていけないし・・・ ああ、もうどうしようもないよ! |
P.6
しかもこの頃、村は、しょっちゅう嵐に襲われるのです。これでもか、これでもか、と不幸が続きます。まるで村は、呪われているかのようです。 |
〔ふりがな〕 しかもこのごろ、むらは、しょっちゅう あらしにおそわれるのです。これでもか、これでもか、と ふこうがつづきます。まるでむらは、のろわれているかのようです。 なんで おれたちばかり、こんなひどいめに あわなきゃいけないんだ? おれたちはなにひとつわるくないのに! だれかたすけて! |
P.7
ああ、また嵐が来ました。湖は大荒れです。 |
〔ふりがな〕 ああ、またあらしがきました。みずうみは おおあれです。 また ひとがしぬんだ! また いえが こわれるわ! |
P.8
みんな怖くて目をつぶって震えています。みんな、みんな泣いています。 |
〔ふりがな〕 みんな こわくてめをつぶって ふるえています。みんな、みんな ないています。 ああ、どうして おれたちは こんなに ふこうなんだろう! ああ、もうなにもかも いやだ! いっそのこと、しんでしまいたい! |
P.9
そんな中、一人の少女が、湖を眺めていました。 |
〔ふりがな〕 そんななか、ひとりの しょうじょが、みずうみを ながめていました。 |
P.10
強い風で、波がすごく大きくなりました。
・・・あ、一瞬、湖の底が見えました。 |
〔ふりがな〕 つよいかぜで、なみがすごく おおきくなりました。・・・あ、いっしゅん、みずうみのそこがみえました。 あったわ! |
P.11
嵐が去りました。 |
〔ふりがな〕 あらしがさりました。 ねえ、みんな、きいて! あそこに ふねが ちんぼつしているの! きっと どくのげんいんよ! |
P.12
みんなで、少女が見た湖底にある船を引き上げました。 |
〔ふりがな〕 みんなで、しょうじょがみた こていにある ふねをひきあげました。 |
P.13
船の中から毒の缶がたくさん出てきました。小さな缶はいくつか穴が開いて空っぽです。これが湖の水が時々、毒に変わる原因だったのです。 |
〔ふりがな〕 ふねのなかから どくのかん がたくさんでてきました。ちいさなかんは いくつかあながあいて からっぽです。これが みずうみのみずが ときどき、どくにかわる げんいんだったのです。 |
P.14
一番大きな缶には、まだ毒の中身が一杯つまっています。でもこの缶も腐って、もう少しで穴が開きそうです。 |
〔ふりがな〕 いちばんおおきなかんには、まだどくのなかみが いっぱいつまっています。でもこのかんも くさって、もうすこしで あなが あきそうです。 うわあ! |
P.15
〔ふりがな〕 もし、あらしがこなければ・・・、 もし、あらしが ちいさくて みずうみのそこがあらわれなかったら・・・、 もし、みずうみのそこがあらわれたとき ぜんいんがめをつぶっていたら・・・、 どくを みつけるちゃんすを うしなっていた。 そしたらむらは ぜんめつだった! |
P.16
ねえ、君。
嵐のときこそ、 |
〔ふりがな〕 ねえ、きみ。 あらしのときこそ、めをあけて。 |
P.17
あとがき -絵本「嵐と湖」 |
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絵本「嵐と湖」は、様々な現実の嵐の中で、悩み、苦しみ、もがき、絶望する方へ向けて、祈りの気持ちを込め執筆したものです。
もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、出来るだけ多くの方に、読ませてあげていただければと思います。 本絵本は、自由にコピーして下さって結構です(商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます)。 また下記WEBからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org |
©Jun Togo 2005 |
P.18
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