| 僕らは特別 |
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| 東郷 潤 |
| 〔ふりがな〕 ぼくらは とくべつ むらさきは えらばれしもの ほかの ひとは すべて てき とうごう じゅん |
P.1
| 広い宇宙のある星に、髪の毛を紫色に染めた子どもたちのグループがありました。 グループには、特別な儀式をしないと入れません。 |
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| 髪の毛を紫に染めて、水晶に書いてあることを信じると誓います。 |
| 〔ふりがな〕 ひろい うちゅうの あるほしに、かみのけを むらさきいろに そめた こどもたちのぐるーぷが ありました。 ぐるーぷには、とくべつな ぎしきを しないと はいれません。 「この すいしょうを しんじます」 かみのけを むらさきに そめて、すいしょうに かいて あることを しんじると ちかいます。 |
P.2
| 水晶には、「紫は選ばれし者。他の人は全て敵。」と書いてありました。 |
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| 〔ふりがな〕 すいしょうには、「むらさきは えらばれし もの。ほかの ひとは すべて てき」と かいて ありました。 むらさきは えらばれし もの ほかの ひとは すべて てき |
P.3
| グループの中で、彼らはとっても仲良しです。 |
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| 〔ふりがな〕 ぐるーぷの なかで、 かれらは とっても なかよしです。 「おれたちは とくべつ なんだ！」「ほかの やつらは、みな、てきだ！」 「わたしたちは えらばれている のね！」 |
P.4
| でも、グループ以外の子と仲良くすることはありません。 |
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| 他の子はみな敵だと、水晶に書いてあったからです。 |
| 〔ふりがな〕 でも、ぐるーぷ いがいの こと なかよく することは ありません。 「あそぼうよ」「だめ！」 ほかのこは みな てきだと、 すいしょうに かいて あったから です。 |
P.5
| 他の子どもたちは、敵だと思われて、面白くありません。次第に、紫の子どもたちを嫌うようになりました。 |
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| 紫の子どもたちが苛められても、誰も味方なんかしません。 |
| 〔ふりがな〕 ほかの こどもたちは、てき だと おもわれて、おもしろく ありません。 しだいに、むらさきの こどもたちを きらうように なりました。 「やーい、むらさきの ばかやろう！」 「しかたないわね。むらさきが あいてじゃ」 むらさきの こどもたちが いじめられても、だれも みかた なんか しません。 |
P.6
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| こうして、紫の子どもたちは他の子どもたちに、しょっちゅう苛められていました。 |
| 〔ふりがな〕 「ちきしょう！ すいしょうに かいてあった とおりだ！ むらさき いがいは、みな、てきだ」 こうして、むらさきの こどもたちは ほかの こどもたちに、しょっちゅう いじめられて いました。 |
P.7
| ある日のことです。紫の子どもたちは、町の公園を独り占めにすることにしました。自分たちだけの公園があれば、苛められずにすむと思ったのです。 |
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| 紫の子どもたちは力を合わせて、他の子どもたちを追い出しました。 |
| 〔ふりがな〕 あるひの こと です。 むらさきの こどもたちは、まちの こうえんを ひとりじめに することにしました。 じぶんたちだけの こうえんが あれば、いじめられずに すむと おもったのです。 「じゃまする やつは けが するぞ！」「どけどけー！」「きゃー！」 むらさきの こどもたちは ちからを あわせて、ほかの こどもたちを おいだしました。 |
P.8
| さあ、他の子は、もうその公園を使えません。 |
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| 〔ふりがな〕 さあ、ほかの こは、もう その こうえんを つかえません。 「ねえ、こうえんを つかわせて！」 「あっち いけ！ ここは むらさきだけの こうえん なんだ」 「わたしたちは いつも いじめられている とくべつな そんざいなの。 だから、わたしたちだけの こうえんが ひつようなの！」 |
P.9
| 公園を追い出された子供たちは、怒って仲間を集めました。そして、みんなで公園の中に石を投げ込んだのです。 |
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| 〔ふりがな〕 こうえんを おいだされた こどもたちは、おこって なかまを あつめ ました。そして、みんなで こうえんの なかに いしを なげこんだ のです。 |
P.10
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| 〔ふりがな〕 「きゃー、いたい！」 「ほかの だれも いじめられない のに、ぼくたち ばっかり、いじめられる」 「やっぱり、ぼくたちは とくべつ なんだ！」 |
P.11
| こうして、紫の子供たちはこの星で、ずうっとずうっと苛められ続けました。 |
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| このままでは、これからもずっと苛められてしまうでしょう。いつまでも、いつまでも、もしかしたら何千年でも・・・。
ああ、なんて可哀想なのでしょう！ もし君が、紫の子供たちを可哀想だと思ったら、教えてあげて！ |
| 〔ふりがな〕 こうして、むらさきの こどもたちは この ほしで、ずうっと ずうっと いじめられつづけました。 このままでは、これからも ずっと いじめられて しまうでしょう。いつまでも、いつまでも、もしかしたら なんぜんねん でも・・・。 ああ、なんてかわいそう なのでしょう！ もし きみが、むらさきの こどもたちを かわいそう だと おもったら、おしえてあげて！ |
P.12
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| 〔ふりがな〕 あいてを てきだと おもえば、あいて からも てきだと おもわれるよ！ こうえんを ひとりじめに したら、きらわれるよ！ それって きみたちが とくべつ だからじゃ ないんだよ！ |
P.13
あとがき-絵本「僕らは特別」 |
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| 被害者意識や選民意識から生まれた錯覚は、容易に人と人との信頼関係を損ね人間関係をゆがませます。
それは様々な悲劇の原因となるのです。
本絵本は、商業出版を除いて自由にコピーして下さって結構です（商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます）。 また下記ＷＥＢからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org |
| ©Jun Togo 2007 |
P.14
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