平和の絵本No.171 日銀は通貨発行益を仕訳計上せよ

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第171号                2025-7-5記

こんにちは、東郷です。
暑い日が続きます。熱中症などなりませんようにご自愛のほど宜しくお願い致します。

さて先月、東大経済学部同窓会誌「経友」に僕の小論文が掲載されましたのでご紹介いたします。僕としては、経済問題は自分のテーマとしてやや外れるのですが、これもまた人々の幸福や平和にとって避けては通れないことと考えています。

現状、財政赤字と国債残高の増大、国民生活の板挟みで、日本経済はにっちもさっちも行かないような状況です。これらすべてが日銀の会計処理の是正で解決することが可能になると考えています。コピペ自由ですので、ぜひ広めて頂ければ幸いです。

なおYouTubeで拙稿の解説も行っていますので、併せてご高覧ください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLxi5LDdwzqr7t3JTGZIPhlPhgq2zOurRp

これ以外にも、善悪や聖書やユダヤ問題、精神医療、トラウマ、臓器売買その他、YouTubeでは毎週ライブを行っており、様々な話題を取り上げています。^^


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★日銀は通貨発行益を仕訳計上せよ 経友222号より
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緊急提言─日銀は通貨発行益を仕訳計上せよ

現在、日本において膨大な国債残高と税負担が深刻な問題となっていることは、皆様がご存じの通りだ。国債発行を減らそうとすれば増税が必要となり、それは国民生活と景気を悪化させる。一方で安易な国債発行は利払い負担の増加を招き、財政の硬直化をもたらす。進むも引くも難しい、いわばジレンマに陥っているのだ。

この状況を打開する鍵は、日銀が通貨を発行することで得られる潜在的な利益(通貨発行益)を適切に計上する会計処理の見直しにあると愚考し、本提言を行なうものだ。

筆者は財政の専門家ではなく、すでにビジネスの一線からも引退しており、本テーマの論者として適任だと考えてはいない。拙稿に何か思い違いなどあれば、どうか同窓のよしみでご容赦をお願いする。

現金は負債なのか

日銀の主要業務の一つに日銀券の発行がある。現在の会計処理では、例えば1億円の現金を印刷した場合、次のような仕訳が行われることとなる。

[借方] 現金 1億円 / [貸方] 発行銀行券 1億円(負債)

この仕訳では、通貨発行が負債として計上される。これについて「日銀は日銀券発行の主体であり、その価値を裏書き保証しているようなものなので、債務の増加だ」という説明がなされることもある。しかしながら現在、日銀券は不換紙幣であり、日銀券の発行は直接的な債務を伴うものではない。

もともと日銀券は明治時代に銀(後に金、そしてドル)との兌換券として出発した。兌換券は、発行すれば兌換義務としての債務が発生する。その場合、現金の印刷を債務計上するのは当然のことだ。  しかしながら1972年に日本円は変動相場制へと移行した。現在では日銀券の価値は(日銀の信用が無関係ではないにしろ。
つまり負債計上にも一理はあるものの)、基本、需給(インフレ・デフレ・為替相場)で決まるものと言えるだろう。

むろん1972年当時には慣習・国際基準との整合性など、様々な事情があったのだろう。それでも今、見直しの余地はあると思うのだ。不換紙幣を負債計上するという会計処理を、このまま続けることは本当に適切なのだろうか。

 

日銀の貸出・国債購入と通貨発行

日銀の新規通貨発行は主に民間銀行名義の日銀当座預金を通して行われる。
一つは日銀による民間銀行への貸付。そして民間銀行からの国債等の購入だ。これらの取引も、また民間銀行による日銀券の入出金も、日銀当座預金の増減を通して行われる。  例えば、日銀が民間銀行名義の日銀当座預金に1億円を貸し出したとしよう。その仕訳は以下の通りだ。

[借方] 貸出金 1億円 / [貸方] 日銀当座預金 1億円

この仕訳では、日銀による資金供給の事実は示されるが、通貨発行の事実は明示されない。そこで例えば、

[借方] 発行済み通貨 1億円* / [貸方] 通貨発行益 1億円
(*仮に「発行済み通貨」という勘定科目を新設したとして)

という仕訳を併記すれば、通貨発行の事実をより明確に記録し、日銀の通貨発行と民間銀行の信用創造を区別することも可能になるだろう。それは通貨政策の透明性アップにもつながるはずだと考える。

一方で通貨発行を計上しなければ、日銀が当該期にいくら通貨発行をしたのか「見る」ことは難しくなってしまう。もし通貨発行量が見えなければ(不明瞭なら)、その管理が難しくなり、例えばインフレを抑えるのも難しくなるだろう。

財政法4条と経済発展

財政法4条は「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と定めている。これは財政規律を維持するための重要な規定だが、経済成長に伴う必要通貨量の増加を十分に考慮しているとは言い難い側面がある。

例えば1兆円規模の経済と1000兆円の規模の経済で、流通する通貨量が同じだということはあり得ない。しかしながら歳出と歳入が同じとなれば、流通する通貨量を増やすことは出来ない。というのも民間には通貨を新規に発行する権限は無いからだ。民間は国が供給する通貨を元手にやりくりするしかない。民間銀行には信用創造という役割があるにしろ、そこには限界も存在しているのだ。

その意味で、財政法4条のこの部分は、(戦後復興期の財政規律重視といった背景はあるものの)今見直せば、経済発展への考慮が不足している面もあるのではないだろうか。

さて財政法4条では、歳出と歳入が同額になることを求めているが、むろん現代ではその実現は難しく、結果、国債は1100兆円を超えて積みあがってしまった。 つまり、それだけ財政赤字が続いたということであり、言い換えれば、日本円の新規発行が順調に行なわれたということでもある。問題はそれが国債残高の積み上げという形になってしまったことにある。財政赤字自体は、(適切に管理されればという条件付きで)上記の通り経済発展に必要なことでもあるが、それを国債発行に頼れば、残高の増大と金利支払いを逃れることは出来ない。

 

直接ファイナンスのトラウマ?

通貨発行益の利用といった話をすると、「それは直接ファイナンスだ!  ハイパーインフレをもたらす危険思想だ!」といった反応をされる方がいる。
そして戦争直後の、200倍を超える物価上昇の話となる。  しかしながら、あのハイパーインフレは直接ファイナンスだけが原因だったのだろうか?  当時の日本は米軍の爆撃で焼け野原となっており、供給余力がほぼゼロだった。そこに国土復興需要があり、多くの兵士の帰国も加わり、極端な需要増となっていた。つまりは需給のバランスが異常に崩れてしまっていたのだ。むろん通貨増発が状況を悪化させたこと自体に異論はないものの、だ。

当時と現代日本では事情が違う。現代の供給力や経済構造ははるかに安定している。もちろん財政規律を軽視するつもりはないが、現代では、例えば金利負担のような間接ファイナンスの弊害も決して小さくはない(後述する)。前述の「見える」数字で財政規律をしっかりと維持しつつ、通貨発行益を適切に活用することで、持続可能な日本経済の活性化が可能になるのではないだろうか。

 

間接ファイナンスの弊害

現状、日銀による国債の直接引き受けは禁止されており、民間銀行などが国債の購入主体となっている。しかし日銀が民間銀行に資金を供給することで、実質的に日銀が国債を引き受けているのと変わらない状況も生まれている。

この状況は、
・銀行の収益となる金利差が政府/国民負担となる。
・国債利払いの増加が財政を硬直化させる。
といった問題点を生じさせる可能性があるだろう。

もし国債利払いの負担が軽減されれば、その浮いた予算で、例えば子供1人当たり月5万円を支給することも可能だという試算を見たこともある。国債利払いは一度発生すると、景気の良し悪しで変えることは出来ない。教育やインフラ対策など、より必要なところへ、必要な時に、必要な資金を届けるという、より柔軟な政策が求められるところだ。

 

通貨発行権を持つ中央銀行の債務超過

理論的には、無から何兆円でも作り出せる中央銀行(通貨発行権を持つ以上、通常の企業とは異なる)の債務超過の可能性というのも、改めて考えれば不思議なことだ。けれど現行の仕訳方法では、これが現実の危険となっている。

現在、日銀の金庫には、600兆円近い国債が眠っている。この膨大な国債は超低金利時代に発行されたものがほとんどだ。もし日銀が政策金利を上げれば、巨大な評価損が発生する可能性がある。つまり日銀はその瞬間、「実質的な」債務超過となりうるのだ。言うまでもなく、中央銀行が債務超過となればその影響は測りしれない。通貨への信頼低下や為替暴落といった事態すらあり得るだろう。

これでは政策金利を十分に上げることは難しい。対外金利差が生じて異常な円安が進んでも、だ。

 

国債消却へ

日銀は現在、国が発行する国債の半分超を保有している。日銀=政府と考えれば、政府発行の国債残高の半分はすでに存在しないようなものだ。政府は国債の金利を日銀に支払い、日銀は余剰金を国庫へと返金している。
であるならば日銀は600兆円弱の国債をそのまま消却すれば、と思うのだが、それが出来ない。現行仕訳のままで手持ち国債を消却すれば、600兆円近い損金が発生し、日銀は債務超過へと転落してしまう。  ではもし通貨発行益を計上する仕訳を採用すると、どうなるか。国債消却と同額の通貨発行益を帳簿上で計上すれば、それだけで収支はバランスする。以下のようにだ。

[借方] 国債消却 600兆円 / [貸方] 通貨発行益 600兆円

つまりこれだけで、日本政府の国債残高は半分以下へと減る。この過程で、政府/日銀と、その外(つまり国内経済)の間に資金のやり取りは一切ない。つまり通貨発行益による国債の消却は、(内外へきちんと説明することが前提ではあるが)インフレ・デフレどちらの要因にもならない。

せっかく日銀が買いオペをして市中の国債残高を減らしたのだ。あとは消却しさえすれば、国債の金利支払いが減る。無駄な歳出削減の努力が不要になるわけでは無いが、国債残高の重荷が消えれば財政のゆとりが生まれる。国民の重税負担を軽減できる可能性もあるだろう。

トランプ関税に対抗する理論武装

通貨発行益の仕訳計上の問題は決して日銀に限るものではない。特に米国は、巨額の財政赤字と貿易赤字を抱えている。米国中央銀行FRBの仕訳処理が世界経済へ与える影響の大きさは、もちろん日銀の比ではない。

実際、貿易赤字の解消を目指す、いわゆるトランプ関税は、日本も含めた全世界を揺るがす問題となっている。
トランプ氏の本音がどこにあるかの推測は難しいが、万一、米国が貿易赤字の解消に固執するなら、それは世界経済に大きな打撃を与える可能性が強い。というのも米ドルはいまだに世界の基軸通貨であり、米ドル無しでは世界中の貿易・金融取引を満足に行うことは出来ない。そして肝心の米ドル供給は、米国だけが行なえる特権だ。日銀はじめ世界中の中央銀行が束になったとしても米ドル発行の権限は無いのだ。
もし日銀が満足に日本円を供給しなければ、日本経済はデフレになり、日本経済は停滞することとなる。それと全く同様に、米国の貿易赤字が縮小すれば、その分、米ドルの全世界への供給が減少する。他の方法(金融取引など)で米ドル供給を補わなければ、全世界で米ドル不足というデフレ類似の現象が起きることとなる。

その場合、真っ先に影響を受けるのは米ドル建て債務を抱える新興国だろう。ドルを稼ぐ手段に乏しく、ドル建て債務の返済が困難になれば、債務不履行のリスクが高まる。新興国の信用不安が連鎖すれば、世界経済の落ち込み・恐慌という危険すら現実のものとなってしまう。そうなれば、米国自身、無傷ではいられない。

もし米国が今後も世界の基軸通貨としての米ドルの地位を守りたいのであれば、基軸通貨としての米ドルを円滑に世界経済に供給し続ける必要があるのだ。そしてそれは持続可能な世界経済の発展にとって大変に重要なことだろう。トランプ政権はどこまでその責任を自覚しているのか。

そしてその経常的な貿易赤字を支える財政基盤こそ、米国中央銀行FRBによる通貨発行益の収益計上という仕訳処理ではないだろうか。  トランプ関税の交渉責任者の方は、この辺りのことをぜひ交渉の理論武装へご活用いただければと思う。

日銀は仕訳の併記を

日銀関係者の方にお願いしたいのは、通貨発行益を計上する仕訳を試験的に作成し、現行仕訳と比較検討することだ。それにより、現行の仕訳の問題点が明らかになり今後の会計処理を検討するための有益な情報が得られるだろう。

また債務が減って収益が増加すれば、日銀が支払う税金にも大きな影響が生まれることとなる。場合によっては、法人税・住民税の調整も必要となるかもしれない。その準備としても試験的な仕訳の作成は重要だ。

 

終わりに

現在、この問題は筆者がYouTube倭塾チャンネルにて提言し(YouTubeで「日銀」「東郷潤」で検索していただきたい。またこれは前述の通り、米国の財政赤字問題や世界経済の安定成長に通じる問題であり、成否は見えないがトランプさん以下、米国の要人達へのコンタクトも試みているところだ。  拙稿の問題提起が、日本の財政の健全化と、経済の持続的な発展に資すればそれに優る喜びは無い。

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