怒らない不信 |
東郷 潤 |
〔ふりがな〕 おこらない ふしん とうごう じゅん |
P.1
怒るって、時と場合によって難しいですよね。 |
そんな怒りやすさって、なんで決まるのでしょう? |
〔ふりがな〕 おこるって、ときと ばあいによって むずかしいですよね。 くくく、がまん、がまん!! そんなおこりやすさって、なんできまるのでしょう? |
P.2
一般的には「怒りやすさって、怒ったときの安全性で決まる」って言えるかも。たとえば、どっちが強いか。 |
〔ふりがな〕 いっぱんてき には「おこりやすさって、おこったときの あんぜんせいで きまる」っていえるかも。 たとえば、どっちが つよいか。 |
P.3
強い人が怒るのは簡単そうです。 |
〔ふりがな〕 つよいひとが おこるのは かんたんそうです。 ばかやろう! なんで おれがおれの にもつを もってるんだよ。 |
P.4
では弱い人は? もちろん危険を冒す覚悟があるか、理性が吹き飛べば、弱くても怒れないことはありません。 |
つまり、弱い人が強い人に怒るのは簡単ではありません。 |
〔ふりがな〕 では よわいひとは? もちろん きけんをおかす かくごがあるか、りせいがふきとべば、よわくても おこれないことはありません。 つまり、よわいひとが つよいひとに おこるのは かんたんではありません。 |
P.5
それでは、弱い人は死の覚悟でもしなければ、常に怒りを我慢し続けなければいけないのでしょうか? |
もちろん、違いますよね。安全性は、強さではなく信頼で確保することも出来ます。 |
〔ふりがな〕 それでは、よわいひとは しの かくごでも しなければ、つねに いかりを がまんしつづけなければ いけないのでしょうか? もちろん、ちがいますよね。あんぜんせいは、つよさではなく しんらいで かくほすることもできます。 |
〔注〕ここで言う強弱は腕力に限るものではありません。金力、権力、法的強制力など様々な強さがあるでしょう。
なお強さと怒りについては、
生と死の絵本集の中の
「負ける喧嘩」や
「沈黙の声」でも取り上げています。この絵は、絵本「沈黙の声」からです。 |
P.6
たとえば、夫に浮気されて、妻が怒る場合。 |
そこには「怒っても安全」という最低限の信頼があるものです。強い夫に殴られるかもと思えば、そうそう怒れません。 |
〔ふりがな〕 たとえば、おっとに うわきされて、つまが おこるばあい。 うわきしたわね! いや、あのお そのお・・・ そこには「おこっても あんぜん」という さいていげんの しんらいが あるものです。 つよい おっとに なぐられるかもと おもえば、そうそう おこれません。 |
P.7
実は、見知らぬ人同士でも信頼関係って存在するんですよ。たとえば電車の中で傘に足を刺された時; |
〔ふりがな〕 じつは、みしらぬひと どうしでも しんらいかんけいって そんざいするんですよ。 たとえば でんしゃのなかで かさに あしをさされたとき; いたい! |
P.8
この場合二人には、●怒ったら怒りを受け止めてもらえる ●謝罪すれば許してもらえる、という暗黙の信頼関係が存在しているでしょう。 この信頼関係の程度は国や社会で変わります。 |
〔ふりがな〕 おじさん! いたいでしょ! きをつけてよ! きがつかなくて ごめんなさい。 まんいんでんしゃの なかで かさをもってるときは、 よっぽど きをつけないと いけませんね このばあい ふたりには、●おこったら いかりを うけとめてもらえる ●しゃざいすれば ゆるして もらえる、という あんもくの しんらいかんけいが そんざいしているでしょう。この しんらいかんけいの ていどは くにや しゃかいで かわります。 |
P.9
もし相手を全く信頼出来なければ、どんな社会でも怒ることは難しくなりますね。 |
〔ふりがな〕 もし あいてを まったく しんらい できなければ、どんな しゃかいでも おこることは むずかしくなりますね。 いたい! おい、あんた!! |
P.10
怒っても安全という、見えない信頼の存在で怒りやすさが決まってきます。 |
〔ふりがな〕 なんだい? い、い、い、いえ。何でもないです! おこっても あんぜんという、みえない しんらいの そんざいで おこりやすさが きまってきます。 |
P.11
これを逆に利用することも出来るんですよ。たとえば浮気した夫に対して、 |
〔ふりがな〕 これをぎゃくに りようすることも できるんですよ。たとえば うわきした おっとに たいして、 あら、あなた またうわきしたのね え? |
P.12
怒らないことで、 強い不信が 伝わりますね |
〔ふりがな〕 たのしくて よかったわね なんで おこらないんだ? りこん されるのかな? おこらないことで、つよい ふしんが つたわりますね |
P.13
あとがき |
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もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、他の方にも読ませてあげていただければと思います。
本絵本は、自由にコピーして下さって結構です(商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます)。 また下記WEBからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org |
©Jun Togo 2019 |
P.14
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