| 負けるものか！ |
| ―意志が弱い方へ― |
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| 東郷 潤 |
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〔ふりがな〕 まけるものか！ ―いしがよわいかたへ― とうごう じゅん |
P.1
| 二人はいつも一緒です。 |
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〔ふりがな〕 ふたりはいつもいっしょです。 |
P.2
| ひとりは山登りをしたいと思っています。もうひとりは海で遊びたいと思っています。 |
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〔ふりがな〕 ひとりは やまのぼりを したいとおもっています。もうひとりは うみであそびたいと おもっています。 |
P.3
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| 二人は、行きたい方向に向かって、押し合いました。 |
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〔ふりがな〕 おれは やまに いくんだ！ おれは うみに いくんだ！ ふたりは、いきたい ほうこうにむかって、おしあいました。 |
P.4
| 二人は毎日毎日、押し合いました。二人とも、とても意志が強いのです。・・・１ヶ月過ぎました。 |
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| とうとう山に向かって１メートル進みました。 |
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〔ふりがな〕 ふたりは まいにち まいにち、おしあいました。ふたりとも、とても いしがつよいのです。 ・・・１かげつすぎました。 まけるものか！ まけるものか！ とうとう やまにむかって １めーとる すすみました。 |
P.5
| どうすれば、相手に勝てるのか。 |
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| 時々、相手を殴ったり蹴ったりしながら、二人は必死で押し続けました。 |
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〔ふりがな〕 どうすれば、あいてに かてるのか。 このやろう！ このやろう！ ときどき、あいてを なぐったり けったりしながら、ふたりは ひっしでおしつづけました。 |
P.6
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| 夜、落ち着いて眠ることも出来ません。 |
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〔ふりがな〕 よる、おちついてねむることもできません。 |
P.7
| ・・・こうして１年が過ぎました。とうとう２ｍ、海に近づくことが出来ました。二人とも、がんばれ！ |
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| ・・・でも、気を抜くと押し込まれます。ああ、今度は海から２ｍ遠ざかってしまいました！ |
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〔ふりがな〕 ・・・こうして１ねんが すぎました。とうとう２ｍ、うみにちかづくことが できました。ふたりとも、がんばれ！ ・・・でも、きをぬくと おしこまれます。ああ、こんどはうみから２ｍとおざかって しまいました！ |
P.8
| ・・・そして１０年が経ちました。でも、まだ山にも海にもいけません。もう二人ともクタクタです。 |
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〔ふりがな〕 ・・・そして１０ねんがたちました。でも、まだやまにもうみにもいけません。もう ふたりともくたくたです。 こいつさえ、いなければ！ こいつさえ、いなければ！ |
P.9
| ―さて別のところに、あまり意志が強くない人が二人います。この二人もいつも一緒です。 |
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〔ふりがな〕 ―さてべつのところに、あまりいしが つよくないひとが ふたりいます。このふたりも いつもいっしょです。 |
P.10
| ひとりが山に行きたいと思いました。もうひとりは、海に行きたいと思いました。 |
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〔ふりがな〕 ひとりが やまにいきたいと おもいました。もうひとりは、うみにいきたいと おもいました。 |
P.11
| そこで二人は、まず海に行くことにしました。 |
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| 海でいっぱい遊びました。 |
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〔ふりがな〕 そこでふたりは、まずうみに いくことにしました。 うみで いっぱいあそびました。 |
P.12
| 翌日は山に行きました。 |
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| 山でいっぱい遊びました。 |
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〔ふりがな〕 よくじつは やまにいきました。 やまで いっぱい あそびました。 |
P.13
| この二人は、どこにでも行けるのです！ そして、とっても幸福です。 |
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〔ふりがな〕 このふたりは、どこにでもいけるのです！ そして、とっても しあわせです。 |
P.14
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〔ふりがな〕 いしがよわいと おおもいですか？ こころのなかで、じぶんとじぶんが たたかってはいませんか？ |
P.15
あとがき ―絵本「負けるものか！」 |
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この絵本では、個人の葛藤をテーマとしましたが、これを個人に限定して考える必要はありません。
もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、他の方にもご紹介していただければとお願いいたします。 本絵本は、自由にコピーして下さって結構です（商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます）。 また下記ＷＥＢからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org |
| ©Jun Togo 2008 |
P.16
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