絵本「負けるものか」:意志が弱い方へ―ひきこもり等の原因や心理

意志が強い、弱いという言葉があります。あるいは、弱い自分に勝て、といった教えも。では、そもそも意志の強さって、 何でしょう? どうすれば、意志が強くなるのでしょう? 例えば、一部で深刻な問題となっている、「ひきこもり」は、意志の弱さが原因なのでしょうか? 意志を強くすれば、引きこもりは無くなるのでしょうか?

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負けるものか!
―意志が弱い方へ―
落ち込んでいる人の絵(イラスト)です
東郷 潤

〔ふりがな〕
まけるものか! ―いしがよわいかたへ―  とうごう じゅん

P.1




解説 「負けるものか」:意志が弱い方へ―ひきこもり等の原因や心理

 「克己心を持て」という教えがあります。
 ・・・ところでこれは、どういう意味なのでしょう?

 克己という言葉を辞書で引くと、邪な自分や欲望に打ち勝つことだ、といった説明がされています。
 では、邪な自分って、何でしょう? そもそも「欲望に打ち勝ちたい」という気持ちは、欲望ではないのでしょうか?  どの欲望が、「打ち勝つべき」欲望で、どの欲望が「伸ばすべき」欲望なのでしょう?

 誰がどのような基準でどうやって、「これは打ち勝つべき欲望だ」「これは伸ばすべき欲望だ」と決めるのでしょう?  そもそもその振り分け基準が「本当に守るべき」ものかどうか、誰が、どのような基準で決めるのでしょう?

 さらにいえば、「邪な欲望」には、「打ち勝つ」ことしか出来ないのでしょうか。戦って、負けてしまった「欲望」(=自分の一部)は、どこへ行くのでしょう?  死ぬのでしょうか? 消え去るのでしょうか。…それともただ単に、抑圧されるのでしょうか? その「欲望」は、永遠に満たされずに、恨みと不幸を身にまとうのでしょうか?

 筆者には、「克己心を持て」という教えの本当の意味は分かりません。 しかしながら、この教えへの解釈を、一歩間違えれば、それは善悪中毒といった心の病の原因になると考えています。 そしてその病は、ひきこもりを始め、ノイローゼ、鬱、心身症、アルコールや薬物への依存症など、様々な問題を引き起こすこととなるでしょう。

 同様に、「弱い自分に勝つ」、「悪い自分に勝て」、「良心が悪い心をコントロールしなければいけない」、 「欲望はいけないことだ」「欲望に打ち勝て」「欲望を無にしろ」といった教えも―これらの教えの本当の意味は別として―、時と場合によって、あるいは受け取り手の理解力によって、 心理的に大きな問題を生む危険があると筆者は懸念しています。
 …そんな潜在的な危険について、絵本にしてみました。

 意志薄弱、意志が弱いといった問題。さらには、欲望のこと。あるいは、ひきこもりの問題。
 こうした様々な心理的な問題を考えるとき、この絵本のテーマ、克己心という言葉の裏側に潜む危険を是非、思い出していただければとお願いいたします。



「負けるものか」のPDFファイル(約800kb) @振り仮名付きです。

Never give up(「負けるものか」英語版)

絵本「人命は何よりも大切だから」でも引きこもりの心理を取り上げています。




〔善悪の支配図〕

 この絵本が関連しているのは主に赤枠部分です(図をクリックすると大きくなります)。
 「善悪」という単純な言葉の裏には数十個の心理トリックの集合体が存在しています。 詳細は 「善悪という怪物」をご参照下さい。

善悪の支配図