| 改めて、 罰って何？ |
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| 東郷 潤 |
| 〔ふりがな〕 あらためて、ばつって なに？ とうごう じゅん |
P.1
| 罰は普通、悪いことをした人が当然に受け取らなければいけない報いのことですね。 |
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| とはいえ、この言葉「悪」は容易に錯覚を生んでしまいます。 |
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〔注〕
この絵は、絵本「見えない危険」から。
善悪と錯覚の関係については、絵本「魔法のメガネ」はじめ多くの絵本で取り上げていますのでご参照下さい。
〔ふりがな〕 ばつは ふつう、わるいことを したひとが とうぜんに うけとらなければ いけない むくいの ことですね。 とはいえ、このことば「あく」は よういに さっかくを うんでしまいます。 |
P.2
| そこで一時的に「善悪」抜きで考えたいのです。「善悪」を完全に抜きにしたら、罰って何でしょう？ |
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| どうやら罰は、人が人に痛みを与えることのようですね。 |
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〔注〕
それぞれ元絵は、「正義の味方」、
「差別と現実逃避」より。
〔ふりがな〕 そこで いちじてきに「ぜんあく」ぬきで かんがえたいのです。「ぜんあく」を かんぜんにぬきにしたら、ばつって なんでしょう？ わるいこ！ いたいよ?！ いたい！ わるい どれいには ばつを あたえないと どうやら ばつは、ひとが ひとに いたみを あたえることのようですね。 |
P.3
| こんな罰もありますね。 |
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| 彼には、たくさんの夢があるようです。 |
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〔ふりがな〕 こんな ばつも ありますね。 この あくにんめ かれには、たくさんの ゆめが あるようです。 |
P.4
| 月日が流れました。 |
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| 彼の夢が少しずつ消えて行きます。 |
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| どうやら罰は、人が人の自由を奪い、夢を奪い、絶望させることのようですね。 |
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〔ふりがな〕 つきひが ながれました。 かれの ゆめが すこしずつ きえていきます。 どうやら ばつは、ひとがひとの じゆうを うばい、ゆめをうばい、ぜつぼうさせる ことのようですね。 |
P.5
| こんな罰もあります。 |
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| どうやら罰は、人が人を殺すことのようですね。 |
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〔ふりがな〕 こんな ばつも あります。 この あくとうには とうぜんの むくいだな どうやら ばつは、ひとが ひとを ころすことの ようですね。 |
P.6
| 善悪を離れれば、罰は人から人への攻撃です。でもそれは「戦い」とは何が違うのでしょう？ |
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| 戦いは当事者双方が、互いに攻撃し合うことです。罰は、双方向ではなく一方的な攻撃ですね。 |
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〔ふりがな〕 ぜんあくを はなれれば、ばつは ひとからひとへの こうげきです。でもそれは「たたかい」とは なにが ちがうのでしょう？ たたかいは とうじしゃそうほうが、たがいに こうげきしあうことです。ばつは、そうほうこう ではなく いっぽうてきな こうげきですね。 |
P.7
| 両者に圧倒的な力の差が存在しなければ一方的な攻撃にはなりません。 罰もまた、強い（立場の）者が弱い(立場の)者に対して行ないます。 |
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〔注〕 ●法律に基づく刑罰でも事情は同じです。法律を作るのは強い立場の人々であり（民主国家なら、多数派）、 法律を執行するのは個人よりも圧倒的に強い国家権力です。 ●自罰といった特殊な心理は存在します。 〔ふりがな〕 りょうしゃに あっとうてきな ちからのさが そんざいしなければ いっぽうてきな こうげきには なりません。ばつもまた、つよい（たちばの）ものが よわい（たちばの）ものに たいして おこないます。 せんせい→せいと ばかもん しゅじん→どれい きゃ～！！ この さるめ！ |
P.8-1
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〔ふりがな〕 おや→こ せんしょうこく→はいせんこく |
P.8-2
| つまり一時的に善悪を抜くと； |
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罰は、強者が弱者を、一方的に攻撃することです。
その攻撃と恐怖で、強者が弱者を支配します。 多くの人間社会で、それは当たり前のこととされています。 |
| 善悪を戻すと； |
| 罰は、悪人が当然に受ける報いです。 罰で、悪を抑止するのです！ |
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〔ふりがな〕 つまり いちじてきに ぜんあくを ぬくと； ばつは、きょうしゃが じゃくしゃを、 いっぽうてきに こうげきすることです。 そのこうげきと きょうふで、きょうしゃが じゃくしゃを しはいします。 おおくの にんげんしゃかいで、それはあたりまえのことと されています。 ぜんあくを もどすと； ばつは、あくにんが とうぜんに うけるむくいです。 ばつで、あくを よくしするのです！ |
P.9
| さらに世界には、こんな教えも存在しています。 |
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| この教えは、決して珍しいものではありませんね。 |
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〔ふりがな〕 さらに せかいには、こんな おしえも そんざいしています。 ぜんを あいせ あくを にくめ この おしえは、けっして めずらしいものでは ありませんね。 |
P.10
| 「悪を憎め」を前提とし、その上で一時的に善悪を抜くと； |
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罰は、強者が弱者を憎み、 一方的に攻撃することです。 その憎しみと攻撃と恐怖で、強者が弱者を支配します。 多くの人間社会で、それは当たり前のこととされています。 |
| 善悪を戻すと； |
| 罰は、悪人が当然に受ける報いです。 悪は憎まなければいけません。 罰で、悪を抑止するのです！ |
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〔ふりがな〕 「あくを にくめ」を ぜんていとし、そのうえで いちじてきに ぜんあくをぬくと； ばつは、きょうしゃが じゃくしゃを にくみ、いっぽうてきに こうげきすることです。 そのにくしみと こうげきと きょうふで、きょうしゃが じゃくしゃを しはいします。 おおくの にんげんしゃかいで、それはあたりまえのことと されています。 ぜんあくをもどすと； ばつは、あくにんが とうぜんに うける むくいです。 あくは にくまなければ いけません。 ばつで、あくを よくしするのです！ |
P.11
| こんな素敵な表現をすることも出来ますね。 |
| 犯罪を決して許してはいけません。犯罪を憎まず、社会正義は達成出来ません。 |
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| 犯罪者を厳罰に処し初めて弱いものを守り、犯罪を抑止し、被害者の人権を守り、 社会秩序を保つことができるのです！！ |
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〔ふりがな〕 こんな すてきな ひょうげんを することも できますね。 はんざいを けっして ゆるしては いけません。 はんざいを にくまず、しゃかいせいぎは たっせいできません。 はんざいしゃを げんばつにしょし はじめて よわいものを まもり、はんざいを よくしし、ひがいしゃの じんけんをまもり、 しゃかいちつじょを たもつことが できるのです！！ |
P.12
あとがき |
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もし、あなたがこの絵本に共感されたなら、多くの方に読ませてあげていただければと思います。
本絵本は、自由にコピーして下さって結構です（商業出版はじめ金銭的な授受を伴う場合を除きます）。 また下記ＷＥＢからは、東郷潤の他の絵本やメッセージをダウンロードすることが出来ます。 www.j15.org |
| ©Jun Togo 2016 |
P.13
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