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罰とイジメと自殺のロンド |
東郷 潤 |
解説「罰とイジメと自殺のロンド」;絵本で描く苛めと自殺問題
苛めと自殺は、大きな社会問題となっています。2008年現在で、あろうことかインターネット上に自殺サイトが乱立するほど、「流行って」しまっているのです。
もし愛するわが子に自殺されたら、残された遺族はどれほど傷つき、苦しむことでしょう。 もし大切な教え子に死を選ばれてしまったら、学校にとってどれほど大きなダメージとなるでしょう。 担任の先生も、自分が受け持つ子どもに自殺をされてしまっては、精神的にも社会的にも実に辛い思いをすることとなるのです。
そのため、多くの人々がイジメによる子供の自殺を無くすために多大な努力を傾注しています。 しかしながら、それでも苛めと自殺の悲劇はなくなりません。
・・・ではなぜイジメや自殺はなくならないのでしょう? どこか努力の方向が間違っていることは無いのでしょうか?
イジメを人から人への攻撃であると考えるなら、そこに様々な原因が存在することは容易に想像できます。
筆者はその一つの原因を善悪中毒だと考えています。
善悪の錯覚はそのままイジメを生む原因になるでしょう。そしてそのイジメはむろん、苛められっ子の自殺の原因ともなるでしょう。
(善悪から生まれるイジメ、攻撃、争いについては絵本「魔法のメガネ」なり、善悪という命令シリーズなり、この絵本集で繰り返し取り上げていますので、ご参照いただければと存じます。)
さらに、(これも善悪中毒として理解することも出来ますが)厳罰化が必然的にもたらす「恐怖」の問題もあるでしょう。
「悪を無くすためには罰っさなければいけない。もし罰しても悪がなくならないなら、より厳しい罰を与えなければならない。」
…そんな、悪と罰の発想から生まれる恐怖は、人の心に甚大な影響を及ぼします。
厳罰という恐怖が、イジメを深刻化させ、自殺の原因にまでなってしまう…、そんな恐ろしい可能性をお考え頂きたいのです。
さらにこの絵本では、「愛は命令で強制できる」という誤解/錯覚も取り上げています。
愛は命令では強制できません。つまり命令や強制で、愛を直接的に作り出すことはできません。
もし命令をすることで他者の心に愛を作り出すことが出来ると錯覚したなら、
そこにはほぼ必然的にひずみが生まれ、自殺をはじめとした様々な悲劇が生まれてしまうこととなります。
(愛が命令で生まれるという錯覚は、嘘を付く原因ともなるでしょう。それを描いたのが、
「愛と嘘」という絵本です。 またその錯覚は、幼児虐待や性的暴力や戦争の原因ともなるでしょう。
それを描いたのが「愛を命令しないで」というオムニバス絵本集です。併せてご参照ください。)
この絵本「罰とイジメと自殺のロンド」は、苛めや自殺の問題が深刻なものとなりがちな、小学校高学年以上の子供たちや、先生・保護者の方々へぜひ読んでいただきたいと希望しています。
ただ、小さなお子様にはちょっと刺激が強いかも知れません(自殺をテーマとしていますので。首吊り自殺の絵もあります)。
ご配慮をお願いできればと存じます。
⇒罰とイジメと自殺のロンド(自殺の心理を描く絵本)の読者感想文へ
善悪の支配図(心理トリックの集合体図)
この絵本で取り上げているのは主に赤枠部分です(図をクリックすると大きくなります)。
「善悪」という言葉は、数十個の心理トリックの集合体と、潜在意識下でほぼ一体化しています。
それぞれの心理トリックは有機的に絡み合っており、この集合体は、目に見えない・複雑怪奇な・巨大なものです。
詳細は、「善悪という怪物」をご覧ください。
死なないで! いつかきっと生きてて良かったと思える時が来るから。 |
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