ある日のこと、彼が眠らないよう、教会でお祈りをしていると、
一人の老婆が現れました。
「可哀想に。ずいぶんと怖がって、苦しんでいるんだね」 「何だ、お前は!?」 「もし楽になりたければ、あなたが殺した奴隷たちに花を手向けるんだよ」 「じょうだんじゃない! 俺は、悪くない! 逆らって逃げ出したあいつらが悪い!! この世は弱肉強食なんだ! それにもし俺に罪が有ったとしても、それはもう、神様に許されているのだぞ!」 |
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「あなたを非難しているのでは無いのですよ。私はあなたのために・・・」 | |
うるさい! ばばあ! |
〔ふりがな〕 あるひのこと、かれがねむらないよう、きょうかいで おいのりをしていると、 ひとりの ろうばが あらわれました。 「かわいそうに。ずいぶんと こわがって、くるしんでいるんだね」 「なんだ、おまえは!?」 「もし らくになりたければ、あなたがころした どれいたちに はなを たむけるんだよ」 「じょうだんじゃない! おれは、わるくない! さからって にげだした あいつらがわるい!! このよは じゃくにくきょうしょく なんだ! それにもし おれにつみがあったとしても、それはもう、かみさまに ゆるされているのだぞ!」 「あなたを ひなんしているのでは ないのですよ。わたしはあなたのために・・・」 うるさい! ばばあ! |