ある日、老婆が現れました。 「可哀想に。こんなに怖がって、苦しんで・・・。 あなたたちが原爆で殺した人たちのお墓に、花を手向けてごらん」 「何を!? 三角野郎に頭を下げろというのか? ふざけるな! 原爆投下でわが国の百万人の若者の命が救われたんだ!! |
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それに、原爆投下は、国際法上も何の問題も無かった。 いいか、あいつらは悪だったんだ。それとも俺たちが悪だとでも言うのか?」 | |
「あなたが悪だなんて言っていないわ。私は、ただ延々と同じことを繰り返す、あなたを助けたくて…」
「ばかやろう! 俺たちは正義のために戦ったんだ!」 彼はおばあさんを突き飛ばしました。 |
〔ふりがな〕 あるひ、ろうばが あらわれました。 「かわいそうに。こんなに こわがって、くるしんで・・・。 あなたたちが げんばくでころした ひとたちの おはかに、はなを たむけてごらん」 「なにを!? さんかくやろうに あたまをさげろというのか? ふざけるな! げんばくとうかで わがくにの ひゃくまんにんの わかものの いのちが すくわれたんだ!! それに、げんばくとうかは、こくさいほうじょうも なんのもんだいもなかった。 いいか、あいつらは あくだったんだ。それともおれたちが あくだとでもいうのか?」 「あなたが あくだなんていっていないわ。わたしは、ただえんえんと おなじことをくりかえす、あなたを たすけたくて・・・」 「ばかやろう! おれたちは せいぎのために たたかったんだ!」 かれはおばあさんを つきとばしました。 |