軍事的な緊張; 日本独立の選択;; P.37

米軍という巨大な力が地域から撤退すれば、そこには当然、反動が生じるでしょう。 反動による乱れは一時的な現象だと予想しますが、絶対にそうだとは言い切れません。

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在日米軍基地が撤退することで、台湾と中国の間、および韓国と北朝鮮の間の軍事バランスにはネガティブな影響が生じるかも知れません。しかしながらそれは、(少し冷たい言い方になりますが)台湾なり韓国の問題であり、日本が在日米軍基地の負担を無条件に受け入れるという話ではありません。

国際関係は軍事に限るものではありません。米国の保護国でなくなれば、日本は今のようには米国に気を遣わずに、どの国とも外交・経済・政治・文化など様々な局面で、軍事的な緊張を低めるための工夫を考え実行できるでしょう。日本は数千年間、在日米軍基地無しで国防を行なってきたのです。拉致問題、北方領土問題、尖閣・竹島問題なども、現在の恐ろしく硬直的な外交だけではなく、硬軟使い分けたあの手・この手を使うことが出来るでしょう。

例を挙げれば、北方領土の交渉に絡めてシベリアに核のゴミ捨て場を取得するとか、パイプラインプロジェクト(ロシアからのエネルギー輸入)で有利な条件を獲得するとか、柔軟で総合的な交渉術です。ロシアとの関係が好転すれば、それは中国や北朝鮮との関係にもプラスの影響を与えます。国防の負担は大きく減ることとなるでしょう。

▼日本の自由な意志と発想で周辺諸国との交流を深め友好関係を促進し、国の安全を図る。-選択4
とはいえ必ずうまく行くという保証があるわけではありません。在日米軍が撤退した途端に、「お、チャンスだ。日本を占領しよう」などとトチ狂ったことを考える国が絶対に出て来ないとは言い切れません。

治にいて乱を忘れず。次は防衛力について考えてみましょう。


〔注〕国連憲章の 敵国条項の削除を目指すことも、国防・外交上の重要な選択でしょう。

2023.5記
●中台問題は国共内戦に起源を持ちます。 「一つの中国」という原則も中華民国(台湾)、中華人民共和国(中共)双方が「我こそは中国の正当な政権である」として、もともと主張していたことです。 しかしながら現代では「台湾の独立を中国が牽制する」方向に意味合いが変化しているようです (台湾の独立を認めない中国の法律「反分裂国家法」/ 台湾の安全保障のための米国の法律「台湾関係法」)。
●台湾(特に独立派)にとっては、中国が掲げる「一つの中国」は安全保障上の脅威でしょう。 その一方で中国側は「台湾独立は我が国の安全保障上の脅威」と考えているかもしれません (独立台湾に米軍核ミサイル基地が出来たら、とご想像ください。 それは中国にとってのキューバ危機のようなものでしょう。 現在、台湾に米軍基地はありません)。


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