こうした数々の素朴な疑問に答えることは、実は簡単なことではない。
これらの疑問にきちんと向き合うためには、実際、世界最大のタブーにまで、踏み込む必要があるのかもしれない。そして、それは誰一人言わなかった「王様は裸だ」と宣言することにつながってしまうのかも知れない。
しかしながら、タブーをタブーとして放置する限り、そのタブーを原因とする戦争(がもし存在するなら、それ)は決してなくならない。そのタブーを原因とする憎しみの連鎖(がもし存在するなら、それ)は、永遠に続く。むろん、世界平和が達成されることもない。
なお日本人の読者の中には、本書を読み進める中で、「廻りくどい」と、お感じになられる方がいらっしゃるかも知れない。
八百万の神々が共存する日本で、宗教の怖さを実感することは少ない。日本文化を前提とする限り婉曲表現の必要性は高くはなく、日本での出版だけを考えるなら、本書の表現は、おそらく違ったものとなっただろう。
しかしながら、本書の主要部分に関しては、いずれ英語版を出版したいと筆者は強く希望している。世界平和の達成へ何らかの寄与をしようと本気で考えるなら、本書の内容は、一神教の世界に生きる人々にこそ問う必要がある。
そして、(英語版の)読者の中には、今も憎しみの連鎖の中でもがき苦しみ、凶暴化している方もいらっしゃるだろう。—というよりも、そうした方々にこそ、本書を届けたいと筆者は希望している。
実際、筆者が本書を執筆するとき読者として想定したのは、凶暴な妄信者に他ならない。
もし読者が「回りくどい」とお感じになられたなら、その時には、その底にあるリスク—宗教の怖さ—に思いを馳せていただければとお願いする。
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