魔女狩り

 さらに素朴な疑問を続けよう。
 中世ヨーロッパでは魔女狩りが行われた。何人の女性が火あぶりにされたのか正確な記録は残ってはいないそうだが、大変な人数の人々�@が犠牲になった。
 むろん日本でもクリスチャンへの弾圧なり、本願寺の焼き討ちなどは存在したが、魔女狩りに匹敵するような女性への迫害は存在しない。実際、浅学な筆者には全世界を考えても、中世ヨーロッパの魔女狩りのような女性への迫害は思いつかない。
 なぜこんな恐ろしい女性への迫害が行われたのか。
 —さらに混乱するのはヨーロッパがキリスト教文化圏だという事実だ。
 キリスト教は愛の宗教だという。「なんじの敵を愛せ」という有名なイエスの教えがあるとおり、敵までをも愛せという教えだ。
 愛と許しの宗教を信じる、キリスト教国の人々が、なぜ魔女狩りや奴隷制度や植民地支配など、あそこまで残虐なことが出来たのか。
 —あなたはそれを不思議には感じないだろうか?

 何度でも繰り返すが、「だから日本人が優れている、欧米人が悪だ」というのでは断じてない。彼我は同じ人間だ。
 しかしながら、同じ人間同士でもこれほどのメンタリティの差・行動パターンの差が存在している。
 その底には、いったい何があるのだろう? —それとも何も無いのだろうか?


�@エンカルタ総合大百科2002では、 「その犠牲者の数は数十万人にのぼるともいわれている。」 また、「侵略の世界史」(清水馨八郎 著) P.59−59では、 「犠牲者は30万人から900万人と諸説があって」とある。
P.9

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