数々の素朴な疑問

 さて、米国をはじめとした西欧社会を眺めると、普通の日本人の感性ではなかなか理解できない多くの事象が存在している。
 以下、思いつくままに例示してみよう。
 これらの事象に接するとき、あなたは素朴な疑問を感じることは無いだろうか?

9.11とアフガン・イラク戦争

 9.11のニューヨーク貿易センタービルなどへのテロ攻撃。被害者の方々は実にお気の毒だったが、このテロはその後、米国によるアフガン・イラク戦争へとつながった。
 戦争開始の是非はさて置き、米国がこの2つの戦争をあまりに積極的に、かつ簡単にはじめたことに、びっくりされた日本人は多かったのではないだろうか?
 米国は、「あれよあれよ」という間にアフガンに爆撃を始め、イラクの首都へミサイルを撃ち込んでしまった。
   これが米国が人権を軽視している独裁国家だというのなら別だ。しかしながら米国は、ご承知の通り民主主義の旗手であり、事あるごとに人権の大切さを主張している。
 いうまでもなく空爆などで人を殺すことは、最大の人権侵害だ。爆弾を落とされる国民の意思を無視しているという意味では、民主主義の蹂躙でもある(空爆前に、「あなたは、あなたの国やあなたの家の真上に爆弾を落とされたいですか」という国民投票をすれば、誰もがNOへと投票するだろう)。
 これを非難として読まれては困るのだが、人権や民主主義を何よりも大切にする国が、なぜあれほど簡単に戦争を始めて人権や他国民の意思を侵害できるのか?
 いったい米国政府は人権を重視しているのか、それとも軽視しているのか。むろん国民全員ではないにしろ、あの米国政府を支持する大勢の米国人たちは、そもそも何を考えているのだろう?
 —あなたは、アフガン・イラク戦争のニュースに接したとき、そんな素朴な疑問を心のどこかにお持ちにはならなかっただろうか? だから米国が悪いというのではなく。

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