地獄の恐怖を乗り越える手法〜1
夜の闇が昼間の明るさよりも怖いのは、闇が想像力を刺激するからに他ならない。逆にいえば、怖いことを一切想像しなければ恐怖という感情は生まれない。
そこで、地獄の恐ろしい様相を一切、想像しないことを選択していただきたいのだ。
誤解しないで頂きたいが、ここでお願いしているのは「地獄が無い」と信じることではない。地獄の有無は、あなたなりあなたが信じる宗教なりのご判断だ。
筆者がお願いしているのは、(地獄の有無に関わりなく)恐ろしい地獄の様相を、あなたがあなたの心の中で想像しない、ということだけだ。
…さあ、あなたはお出来になるだろうか?
「想像しない」という選択をすることは、大変に容易であり、また難しくもある。
たとえば地上1メートルのところで狭い板を渡れる人が、地上10メートルでは足が竦んで歩けなくなるのは「落ちて死ぬ」ことを想像するからだろう。
その想像をしないことを選択すれば、地上1メートルも地上10メートルも変わらないが、それは普通は大変に難しい。特に高所恐怖症の人にとっては、ほとんど不可能なことと感じられるだろう。
—しかしながら一方で、想像しないことは不可能なことでもない。
地上10メートルで身軽に作業する人々も多いのだ。この人たちにとっては、落ちて死ぬという想像をしない選択は、無意識のうちに自動的に行っていることであり容易なことだ。
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