ここであなたが科学合理主義者で、あなたの理性は地獄の存在を否定していると仮定してみよう。
しかしながら、もしあなたが幼いときに地獄について聞かされていたとすれば、その恐怖は潜在意識に残っている可能性がある。その場合、恐怖から完全に解放されることは決して容易では無い。
いくら安全だと理性が理解していても、高所恐怖症の人が高層ビルの窓から下を覗き込むことは難しい。閉所恐怖症の人が、暗くて狭い部屋に自分から進んで入る事は無い。理性が理解することと潜在意識レベルで信じることは、別の次元のことなのだ。
逆に、あなたが地獄を信じていると仮定してみよう。
その場合は、あなたが地獄を恐怖することは当然のことであり、あなたは地獄への恐怖を捨てようとは思われない筈だ。
さて人が心の中で、地獄の存在を少しでも信じていたなら、その人が意識する・しないに関わらず、人は地獄行きを避けようという行動パターンを取ることとなるだろう(閉所恐怖症の人が狭い場所を避けるように)。
つまり、地獄を恐れる人は善なる存在になろうとする。—ここに大きな危険が潜む。
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