絵本「一輪の花‐原爆を滅ぼすもの」をお読みになる前に

この絵本では原爆・核兵器の廃絶という大変デリケートなテーマを扱っています。あらかじめ以下の点につきご注意ください。

解説「一輪の花-原爆を滅ぼすもの;核廃絶への道」について

冒頭にて大変仰々しく、「この絵本を読む前に」の注意書きをいたしましたが、この「一輪の花-原爆を滅ぼすもの;核廃絶への道」を最後までお読みいただければ、 なぜこのような注意書きが必要であったか、ご納得いただけるものと存じます。

善悪の錯覚と原爆/核兵器の廃絶

「一輪の花-原爆を滅ぼすもの」のストーリーそのものは、2年以上前に完成していました。しかしながら、その時点で発表した場合、読者を善悪の葛藤の中へ誘ってしまう危険を感じていました。 もし、読者がこの絵本を読んで、善悪の裁きを行い憎しみを募らせたなら、それは、原水爆・核の廃絶という執筆の意図の正反対へ、読者を誘導したこととなってしまいます。

さて、「一輪の花-原爆を滅ぼすもの」のストーリーを完成させてから2年間という時がたち、すでにその間に10種類の絵本を発表しています。「善悪中毒」も出版され、善悪の危険については、決して十分とはいえませんが、かなり訴えてきています。
…とはいえ現時点でもこの絵本を発表することに、ためらいが無いわけではありません。
しかしながら同時に、(善悪の陥穽という危険はあるものの)「一輪の花-原爆を滅ぼすもの」に込めている核廃絶のメッセージは、大変に重要なものです。
善悪の罠、無限の葛藤の中に巻き込まれるという危険は決して0にはなりませんが、細心の注意を払えば、発表できるという判断を行ったものです。
その注意の一つが、冒頭のただし書きとなったものです。ご理解ください。

被爆国日本の役割

「核廃絶は、日本国民の悲願である」「唯一の被爆国である日本こそが、原水爆を世界から根絶するために指導的な役割を果たしたい」

あなたは、こうした言葉に共感されるでしょうか?

敢えて語弊がある言い方をしますが、原爆・核兵器には、役割があります。役割がなければ、そもそも存在することはありません。それでは原爆の存在意義とは何か? なぜ人類は原爆を捨て去ることが出来ないのか?
―その役割を見極めれば、その弱点も見えて来るのです。

役割・原因を見極めることなく、つまりは存在理由から目をつぶり、ただ「原爆は悪だ!」「原水爆禁止!」とお題目のように唱えても、(無意味だとまでは言いませんが)現実の核廃絶へ結びつくとは思えません。

たとえ相手が原爆であっても、(どれほどの怒り・憎しみに身もだえしても、絶叫してでも)一切の善悪の判断を廃して原爆の役割を見極めれば、何をどうすれば原爆を無くすことが出来るのか、核廃絶への道が見えてきます。

そのために最も効果的な手段。―今の僕に見えている最高の手段こそが、平和の絵本の運動に他なりません。
和を地球へ達成するということは、全ての原爆、核兵器をゴミとすることでも有るのです。

世界を変えよう

上記のようなバランス/ニーズを踏まえて、「一輪の花-原爆を滅ぼすもの」を、今回、発表するものです。

さて、原爆に限らず、戦争、軍拡、テロ。人為的な全ての悲劇を防ぎ、解決するためには、正確な原因分析が必要です。 原因分析には当事者へのより深い理解も含まれるでしょう。そして、誰が善で誰が悪かを決めることに夢中になれば、当事者への理解が出来なくなります。

実際、誰が悪いかを決めることと、原因を見極め・除去することは、似て非なるものです。しかしながら、この二つは往々にして同じものだと錯覚されています。 その錯覚を打ち破るには、上記のとおり、歯を食いしばってでも目を見開く必要があるのです。繰り返しになりますが、それは時に、大変な気力を要求されることなのです。

実際、原水爆を捨て、軍拡を止め、恒久的な和を地球へ達成することは、善悪(その他若干の錯覚)を乗り越えさえすれば、 決して難しいことでは無いでしょう。筆者は、核廃絶は、むしろ歴史の必然である、とすら感じています。

もう一度、お願いいたします。もし、あなたが原爆の無い世界を作りたいと願われるなら、どうか、この絵本を善悪の裁きのために使わないでください。 そうではなく、歯を食いしばって原爆が存在する理由をお考えになってみてください。この絵本なり、他の絵本集なりを徹底的に読んで、どこに錯覚が存在するのか、考えてみてください。
―そしてもし、ご共感していただけたなら、どうかこの運動をサポートして頂きたいです。

いくら歴史の必然とはいえ、大勢の力を結集しなければ、世界を変えるには、ちょっと時間が掛かってしまうでしょう。僕は、早く原爆をゴミにしたいです。

映画関係者の方へ

この絵本は、もともと映画化を意識して執筆したものです。今回、絵本という形式で発表しましたが、発表の手段としては、むしろ映像に向いているのでは、という気がしています。

この「一輪の花-原爆を滅ぼすもの」を映画化し、全世界へ配給してみること、お考えになりませんか?

なお、金銭の授受を伴わない、演劇・映画へのご使用は自由です。商業ベースのものは無断使用を禁止しておりますが、是非、積極的にご検討いただき、ご相談いただければと希望するものです。

こちらが「一輪の花」のPDFファイルです。(2.2mb)
*大人向きなのでフリガナは入れていません。

広島の絵本作家yukariさんが描く「魔法のメガネ〜原爆編」はこちらです。
原爆の日によせて 2006年8月6日の活動日誌です。
電子書籍「原爆への復讐;聖書論(歴史編)」はこちらです。
一輪の花
―原爆を滅ぼすもの―
一輪の花の絵です。最初の頁です。−原爆を滅ぼすものとは何でしょう?
東郷 潤
P.1