ノウソの人々は、もともと和を貴ぶ、平和で穏やかな人々です。決して野獣ではありません。 戦争で負けたからといって、いつまでも相手を怨むという文化は、ノウソにはありませんでした。
けれど驚いたことに、ノウソの人々は焼野原でも秩序だっており、一切の抵抗をしませんでした。 むろん、彼らが野獣というのは、丸人たちが勝手に作った妄想に過ぎません。 もともと彼らは、何百年も平和に穏やかに生きてきた民族です。 人の和を貴ぶ長い伝統と深い精神文化を持っていました。 |
「ノウソは野獣」と信じていた丸人の目にも、敗戦の焼野原で他人を思いやるノウソの人々が、狂暴な野獣にはどうしても見えませんでした。 |
〔ふりがな〕 けれど おどろいたことに、のうそのひとびとは やけのはらでも ちつじょだっており、いっさいの ていこうを しませんでした。 むろん、かれらが やじゅうというのは、まるじんたちが かってにつくった もうそうにすぎません。 もともと かれらは、なんびゃくねんも へいわにおだやかに いきてきたみんぞくです。 ひとのわを たっとぶ ながいでんとうと ふかいせいしんぶんかを もっていました。 「のうそはやじゅう」としんじていた まるじんのめにも、はいせんの やけのはらで たにんをおもいやる のうそのひとびとが、きょうぼうな やじゅうには どうしても みえませんでした。 |